いつも日経新聞のコラム『大機小機』を楽しみがら読んでいます。
きょうは先日の、『ガバナンス改革の効果は』と題するコラムが、とても
適切で納得のいく内容だったので紹介します。
大企業の品質管理に関する不祥事が続いていますが、その原因として
現場の実情から離れたコーポレートガバナンスの改革が、逆にそのガバナンスに
悪影響を及ぼした結果ではないかと厳しく問いかけています。
神戸製鋼所の品質データ改ざんは、数千社に影響したそうですし、日産自動車の
完成検査体制不祥事では出荷停止に追い込まれました。
各企業の現場では、もしかして自分のところもそうではないかと不安になっている
人達もいるのではないでしょうか。
東芝が経営危機に陥っていますが、これもコーポレートガバナンスが機能していたとは
とても思えません。
コラムには、社内取締役を減らして社外取締役を増やしたことが、現場から離れて
目が届かなくなったのではないかと述べています。
投資家の利益を優先した改革ではなかったか、会社にはそれ以外のステークホルダーが
いるのに、それが考えられていなかったのではないかと。
投資家要求に応えるべく短期的利益に走り、逆に長期的利益を損なう結果になっているのではないかと。
ガバナンス改革が現場にどのような悪影響を及ぼしているかが考えられていなかったと。
そして、事業部門と品質保証部門との間には対立が起こりやすく、売上や利益を優先する事業部門の
言うことが通りやすくなる、という現場の力学を知った上でガバナンス改革をすべきだ、と述べています。
まったく同感です。
グローバル企業として対応するために、海外標準基準を導入した改革が結局、企業としての社会的責任を果たせなくなり、
存続の危機を迎えていることを、日本の経営者たちは良く考えてほしいと思います。